top of page

​カテゴリー一覧

検索

労働者派遣の期間制限の見直し(原則3年)について







2015年の法改正によってすべての業務で個人単位・事業所単位の2つの期間制限が設定され、どちらも上限3年というルールが運用されるようになりました。

今回は期間制限が設定された2つの項目、内容等について解説します。


目次



1.労働者派遣の期間制限の見直し(原則3年)とは?

今までは業務の種別によって派遣期間の制限が異なっていましたが、2015年の法改正によって

●労働者との契約(個人単位)

●派遣先と派遣元間での派遣契約(事業所単位)

がそれぞれ「3年まで」と定められました。


改正前では、ソフトウェア開発、通訳・翻訳等、【専門26業務】といわれる業務が、3年ルールの対象外、つまり上記の業務は派遣契約の期間制限がありませんでしたが、この対象外がなくなり、”すべての業務が3年ルールの対象”となりました。


2.法改正3年ルールとなった経緯とは?

2015年法改正、労働者派遣の期間制限の見直し(原則3年)となった経緯としては、どの業務が【専門26業務】に当たるのか判断が難しく、3年ルールが適用されるのか分かりづらいという実態があり、現場が混乱するということから労働者派遣法が見直されることとなり、2015年に法改正が施行されました。


3.個人単位の3年ルールとは?

個人単位の3年ルールでは、派遣労働者は同じ組織単位(「課」や「グループ」など)の上限が「3年」となりました。つまり、派遣労働者個人を3年超えて、同一の組織単位で派遣の受け入れるをすることが出来なくなったということです。

また、3年ルールは派遣元が変更された場合でも通算されるため、派遣先も個人単位で管理する必要があります。

派遣労働者が働いて3年を経過した場合は、派遣先の事業所は以下のいずれかの措置を選ばなければいけません。


●部署を異動して引き続き受け入れる(この場合、過半数労働組合の意見聴取が3年ごと必要となる)

●ほかの派遣労働者を受け入れて同じ組織単位で受け入れる

●派遣労働者を直接雇用する

●受け入れを打ち切る



4.事業所単位の3年ルールとは?

事業所単位の3年ルールでは、派遣先が同一の派遣元事業所と3年を超えて派遣労働者を受け入れすることが原則できません。

例えば、派遣先と派遣元が派遣契約を結んでから2年後に派遣労働者Aが入社した場合、派遣労働者としては入社した時から3年後が「個人単位の※抵触日」となります。

しかし、事業所単位の3年ルールがある為、派遣労働者Aは3年よりも短い期間で派遣先をやめなければいけない可能性があります。今回の場合は、入社から1年後にやめなければいかない可能性があります。


しかし、事業所単位の3年ルールは、派遣先の事業所の過半数労働組合、また、過半数労働組合が存在しない場合は、派遣先の事業所の労働者の過半数を代表するものから、許可を得た場合のみ延長することが可能となります。

※抵触日とは・・・派遣として働くことが出来る期間を過ぎた初日のことです。例えば、抵触日が

9月1日であれば、派遣スタッフが派遣先で働ける期間は入社3年後の8月31日まで

となります。                               



5.「3年ルール」の例外とは?

法改正によって、多数の派遣労働者に3年ルールが適用されましたが、一部例外のケースがあります。


●派遣元と派遣労働者が無期雇用契約を締結している場合

●派遣労働者が60歳を超えている場合

●終期が明確な有期プロジェクトに派遣される場合

●日数限定業務の場合

●休業代替業務の場合

●3年以内に部署移動する場合


以上6つの内容の詳細を解説していきます。


5-1 派遣元と派遣労働者が無期雇用契約を締結している場合

派遣元の事業所と派遣労働者の間で、雇用期間が設定されていない無期雇用契約を締結している派遣労働者は3年ルールの適用外となります。この場合、派遣先は数年にわたり継続して派遣労働者を受け入れることが出来ます。


5-2 派遣労働者が60歳を超えている場合

有期雇用の派遣労働者が受入から3年の時点で60歳以上の場合は、3年ルールの適用対象外となります。

また、事業所単位、個人単位のどちらの期間制限も対象外となり、同一の組織単位で継続して派遣労働者として働くことが出来ます。


5-3 終期が明確な有期プロジェクトに派遣される場合

業務の開始・転換・拡大・縮小・廃止等の業務であり、一定期間内に完了することが予定されている業務です。


5-4 日数限定業務の場合

派遣労働者が働く業務日数が、派遣先の通常労働者の半分以下かつ10日以下である場合は働くことが出来ます。


5-5 休業代替業務の場合

派遣先の労働者が、産前産後休業・育児休業・介護休業などを取得する際の代わりに、同業務を代替して行う業務の場合は働くことが可能です。


5-6 3年以内に部署異動する場合

他の5つとは異なり、派遣労働者を3年以内に他部署へ異動することで、継続して同じ派遣先で働かせることは問題ありません。つまり、作業内容は変わるが、派遣先では働き続けることが可能ということです。

労働者派遣法では、「派遣先の事業所における同一の組織単位で3年以上働くことが出来ない」と定めている為、部署の異動をして同じ派遣先で働くことは問題ありません。


例えば、総務課で2年8ヵ月受け入れている派遣労働者を営業課に異動させた場合、営業課に異動した日から派遣開始とみなされます。つまり、総務課で2年8ヵ月受け入れた後でも営業課で3年間継続して受け入れることが出来るということです。


6.抵触日と意見聴衆の注意点とは?

抵触日とは、派遣として働くことが出来る期間を過ぎた初日のことで、抵触日その日以降派遣を行ってはいけません。抵触日の決定方法は、例えば、2015年9月1日に労働派遣契約の初日を起算日として、その3年後の同日、つまり2018年9月1日が抵触日となります。

抵触日が9月1日であれば、派遣労働者が派遣先で働ける期間は8月31日までとなります。


事業所が意見聴衆の手続きを終えて、期間制限を延長し、その抵触日通知をもって新たな派遣契約を締結する法律です。抵触日が決まらなければ派遣元も契約を交わすことが出来ません。

抵触日は法律に触れる日となっていますので、抵触日、その日以降は派遣ができませんし受け入れることもできません。スムーズに派遣期間延長する為にも、1ヵ月前までには意見聴衆の手続きを行い、新たな抵触日を決めるようにしてください。


7.まとめ

派遣労働者の期間制限の見直しから、抵触日と意見聴衆について解説しました。

2015年の法改正によって、個人単位、事業所単位での3年ルールが施行されましたが、無期雇用者や60歳以上は対象外など、例外もあります。

また事業所単位の3年ルールは派遣先事業所の過半数労働組合等に意見聴衆を行うことで、抵触日を延長することも可能です。

正しい運営をおこない、法を守りましょう。

詳細についてはお問い合わせください

お電話、メール、または SNS にて、いつでもお気軽にお問い合わせください。

bottom of page